駅裏で襲撃されたラッキーは私どもが住んでいた家の新築代金を持参することを約束したようだった。この約束を果たさなければ、どうなるかはラッキーが一番わかっていただろうし、東亜子のところにいた第一妻も当然わかっていた。
今もそうだが、家1軒というのは大きな買い物であって、いわゆる太い金だ。失業者のラッキーがとうてい出せる金ではなかった。しかし、なんとかしなければ・・・
ラッキーとラッキーの第一妻は戦前から、借金まみれであった。昭和20年、そもそもラッキーを襲撃した親分のところに、東亜子を連れて行って借金の形にしたのだ。
そのころ、金融業者(今で言う街金)の息子が、藤田小女姫にご執心だったことに目をつけた。ラッキーと第一妻は、金のためにこの話を何とかしようとした。
ところが、東亜子はそのころ、二枚目の映画俳優に夢中であった。
皆さん、結婚って何だと思いますか?
① 結婚式を挙げることでしょうか?
②戸籍を入れることでしょうか?
ラッキーと第一妻はこの両方をしました。
ところが、二人は一緒に住んだこともなければ、なんでもなかったのです。
ハワイでの事件後、東亜子のマネージャーだった人とそのグループに守られたと聞きました。戸籍はほどなく離婚という形で抜きました。
第一妻によって、金だけ出した東亜子の結婚相手はそこのところをさる雑誌に書いていました。
これは余談ですが、東亜子のマネージャーとそのグループの学生時代の写真があったので、どこの学校か調べました。ラッキーも一緒に写っているその写真を持って、東京に隣接した県庁所在地の図書館に行って写真の学帽についている徽章で、校名を知ろうと思いました。
図書館で付け合わせていると、年配の方が、「これは○○師範学校だろう」といって、学校史を見ると一致しました。
東亜子が思いを寄せていた二枚目俳優の本名が「○○吾郎」です。
ラッキーとその第一妻に東亜子は二度売られた。